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【性格】
文化と礼節を重んじ、華を愛しみ、自らは慎ましやかに。花笠萼は、いつも静かで無垢で、まだ何にも染まっていないまっさらな人間だ。
いつも静かに微笑をたたえ、ぴんと背筋を張って座っている。細い身体を動かして杖を着き歩く姿さえ、それは風に揺れる百合の花のように人目を引くものだ。どこか古風な口調や言葉も、彼の好きな花の話を織り交ぜて小さなくちから発せられするりと耳と頭に馴染む。古い口調は彼の母や祖母からうつったもので、彼女らが萼にも分かるように丁寧に言葉を選んでくれた癖までそっくりそのまま受け継いだものである。
幼くして難病を患い、家の中でばかり過ごしてきたため世間の俗な話にはかなり疎い。本人の性格ももともとそこまで自ら外に出たいと思うものではないため、流行について情報を得ても試そうとは思わない。情報源は主に生け花教室の生徒の主婦の皆さん。
SNSはアカウントが存在するだけで利用はしていない。スマートフォンは身内と連絡を取り、時折音楽を聴き、時折電子書籍を利用するためだけに所持している。
彼の人生というものが他人に世話をされがちなものであるという自負がある。実際そうなので本人は自分は面倒見が良くないと言っている。が、身体を使って世話をすることは出来ずとも、彼の心の余裕と優しい思考と言葉には他人を癒すだけの力がある。思い詰めている時に彼と話をすると、花への愛や自然や風流を混じえて、肩の力を抜けるようなリラックスした空気のもとで心配しているという旨の話をしてくれる。
自らを律し清く正しく生きていると思われがちだが、かなり自分に甘いほうである。眠たければいつまでも眠ってしまうし、十分に食事をしても食べたければなお食べてしまう。やらなければならないことは期日内には終わらせるが、それ以外の時間では怠惰なのだ。
その性格も相まって、自らの欲しいものを与えてくれる人の近くに行きやすい。食べたいものを食べていいよと言ってくれる人や、眠りたいだけ眠ることを許してくれる人など。自ら主張して甘えん坊をするわけではないが、無意識下で自らの欲を満たしてくれる人を信頼し、ひいては依存する傾向にある。近づきたいならばまずはお花、次にお菓子。
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作者名:佐藤める | 作成日時:2023年4月15日 0時