ぼくとかわいい君と【短編集】second (ページ7)

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｢料理…？翔太が…？｣
｢そんな驚くかよ、失礼か｣

俺が文句を言うと相手＿＿涼太はごめんごめん、と悪びれもなく謝った。

｢つまり、康二に手料理を振舞ってあげたいんだね、翔太は｣
｢振舞ってあげたいっていうか、康二がいなくても、ちゃんと出来るようになりたいっていうか……なに｣

言い訳するみたいにゴニョニョとした感じになってしまう俺を涼太は何故かニヤニヤとしながら見ていた。その顔がなんかムカついて俺はじとりと涼太を睨む。

｢別に？ただ、翔太変わったなぁって。今までならそんなこと言わなかっただろうし。翔太は食に無頓着だから｣

そう言われればそうだ。俺、確かに変わったな。康二のおかげで、康二が料理を作らない日もちゃんと何か食べるようになったし。

｢いいよ。大事な幼馴染の頼みだからね｣
｢…ありがと…｣

ニコッと笑った涼太。俺はちゃんとお礼を言う。やっぱり俺の幼馴染は優しい。

こうして、週に二日、涼太に料理を習うこととなった。不安しかない。

＊

｢しょっぴー、今日行ってもええ？｣
｢あー、ごめん。今日は約束があって…｣

夕方、康二から電話があってお誘いを受けたが、今日は先に涼太と約束をしているため断る。

｢そっか。ほなまた連絡するわ｣
｢ん、ありがと、康二｣

通話を切って一つ息をはく。

待ってろ、康二。俺、めっちゃ料理上手くなってやるからな…！

涼太の指導はスパルタだった。そもそも俺は包丁の扱い方だって不安な程。とりあえずそこそこの難易度のカレーを作ることになったのだが、ピーラーの使い方から注意され、野菜を切る頃にはすでに疲れてしまっていた。

｢料理ってすげぇ疲れるな…｣
｢翔太が思ってるよりは疲れないだろうけど、まぁ人によっては重労働かもね｣

具材とルーを入れた鍋を煮込みながらそんな会話をする。

料理が出来る人を尊敬するしかないと思った。

ある程度煮込むと、涼太が味見する。何度か頷きながら、｢まあまあいいんじゃない？｣と言って俺に味見用の小皿を渡した。俺はそれにカレーを少し注いで、味見する。

｢ん、うまっ｣

上出来じゃない？辛さは俺好みだし。

｢翔太、よく頑張ったね｣

出来の良さに満足していると涼太に頭を撫でられた。子ども扱いされてるみたいであんまり好きじゃない。

｢俺より背デカいからって子ども扱いすんな｣
｢えー、純粋に褒めてるだけだよ？｣