ぼくとかわいい君と【短編集】second (ページ6)

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こじなべページ6

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｢家庭的な男性って憧れるよね〜｣
｢分かる〜！料理とか出来たらすぐ惚れちゃいそ〜！｣

気まぐれに入ったカフェで、コーヒーを飲んでいた俺の耳に入ってきた会話は後ろのテーブルの女性二人組のものだ。いかにも今どきって感じの女性たち。どうやら理想の男性について話しているらしい。

料理か…。

俺は料理が出来ない。包丁を持つのすらままならないし、得意料理を聞かれたらゆで卵って答える自信がある。
料理は好きじゃない。買い物とか片付けとかいろいろ面倒だし、何より俺は食べることに執着がない。仕事に支障が無い程度に食べるけど。まぁともかく、外食、中食がほとんど。最近までは。

最近変わったこと。それは康二が俺のために手料理を作ってくれるようになって、内食がめちゃくちゃ増えた。いつだったか、康二と昨日の夕飯の話になったんだ。

｢昨日はな、オムライス作ったんよ｣

そう言いながら過去最高の自信作だったから写真を撮ったらしく、その写真を見せてくれる。

｢へぇ、美味そうじゃん｣

素直にそう思った。半熟でトロトロのたまごが目を引く一品。

｢しょっぴーは？なん食べたん？｣
｢昨日…？昨日は、食べてない。お腹空いてなくて｣
｢え、ほんま？お腹空かんの？｣

驚く康二に俺はそんな驚くか？と首を傾げる。

｢俺食べない日けっこうあるよ。サプリで済ます時もあるし｣
｢そ、それはアカン！｣

ガタッと音を立てて立ち上がった康二。俺はそれにビックリしてしまう。

｢しょっぴー、食事はちゃんと取らなアカンって！｣
｢そう言われても…俺自炊とか面倒だし…｣
｢じゃあ俺が作ったる！｣
｢え…？｣

と、そんな感じで週に三、四回、康二の手料理を食べるようになった。時には康二が俺の家に作りに来てくれて、時には康二の家に俺が行って一緒に食べている。
康二は和食から洋食まで、本当にレパートリーが豊富で康二に料理を振舞ってもらう日がすっかり楽しみになっていた。つい昨日も康二の手料理を食べた。

康二はあの女性たちが言う“家庭的な男性”なんだろうな…。康二がメンバーの中で一番最初に結婚すんのかな…。

………なんかそれ、いやかも。

康二が結婚したら、俺にはもう手料理振舞ってくれなくなるよな…。作ってくれるかもだけど、今みたいに頻繁には作ってくれない。

俺、このままでいいのか…？康二に頼りっぱなしで。

俺も、料理出来るようになろうかな…。