ぼくとかわいい君と【短編集】second (ページ23)

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「あの二人、焦れったいなぁ。なぁ、めめ」

康二に同意を求められ、俺はスマホをいじり、顔を上げないまま「そうだね」と生返事をした。

「もー、しょっぴーもうちょっと自分に自信持ってもええのに…」

俺の無愛想な反応は気にせず、ただしょっぴーの鈍感ぶりに怒る康二。
康二がしょっぴーに嫉妬させるためにわざと舘さんに近づいてるのは知っている。しょっぴーは確かに嫉妬してるけど、ただその光景を見るだけで何も言えずにいるのが現状。ここまで来れば俺たちメンバーとしても早くくっついてほしいなんて思ってしまう。

「めめはしょっぴーからよぉ相談受けようやんか。どんなこと相談されるん？」
「んー、惚気話みたいなのもあるし、舘さんに近づけて羨ましいとかかな」

そっかぁ、と何やら考え込む康二。また何か二人をくっつけるための作戦を考えているらしい。康二は特に舘さんとしょっぴーを応援している。だからいろいろ作戦を練るのだが、イマイチ上手くいっていない。

「康二。俺たちが出来るのはもうここまでじゃない？あとは二人に任せようよ」

こういうのに第三者があまり手出しするべきでは無いと思う。そりゃあ見てる俺らからすればめちゃくちゃ焦れったいけど、これ以上二人の恋路に関わるのは野暮というやつのような気がする。

「んー、それもそうやなぁ」

俺の言葉に納得する康二。まだ少し不満そうだけど。康二自身あんまりお節介焼かない方がいいって思ってるんだろう。

「舘さんも、しょっぴーにもうちょっと自信つけさせる努力しなきゃだと俺は思うし」

そう言った俺を康二は何故かじっと見つめてきた。それが居心地が悪いし、見つめられる理由もよく分からず、俺は「どうした？」と尋ねた。

「なんか、めめ冷たい？」
「ん？そんなことはないけど…？」

突拍子もない康二の言葉に俺は一瞬面食らう。でもすぐにいつも通りの顔で笑って見せた。それでも康二はどこか納得していない、腑に落ちないとでも言いたげな顔をしている。

危ない危ない。康二に俺の気持ちバレるところだったな…。まぁバレても全然いいんだけど、なんかメンバー内の雰囲気が悪くなってしまいそうだから、なるべく避けたい。

俺は翔太くんが好きだ。俺が好きになった時は、もうすでに翔太くんは舘さんのトリコになっていた。それでもめげずにずっと翔太くんを想ってきた。