ぼくとかわいい君と【短編集】second (ページ22)

今日:29 hit、昨日:12 hit、合計:27,276 hit

・ページ22

side:dt

服をプレゼントする意味を、俺の幼なじみは知らないらしい。その意味は“その服を脱がせたい”。深読みし過ぎだと思われるかもしれない。一介のスタイリストがモデルに服を渡す、というか撮影で使った衣装などをモデルが持って帰ることは別に珍しいことでは無い。
でも、これは明らかに翔太へのアプローチだ。今日、翔太が撮影した雑誌は以前俺もお世話になったことがある。というかグループの特集をくんでもらって、その時に関わった。あの雑誌のスタイリストは、以前翔太に熱烈な視線を送っていた。
もちろん、雑誌のスタイリストなんて一人じゃない。でも、紙袋の中の服を見てあの人だろうなって確信した。

服には値札はついていなかったが、ブランドが書かれたタグはまだついたままだった。撮影で使う予定だったのに、タグをつけっぱなしにするだろうか。恐らく、あのスタイリストはわざとタグをつけっぱなしにしていた。翔太に、自分の意図に気づいてもらうために。本当は俺からの贈り物なんだ、と表現するために。
でも、そんなことはさせない。翔太にプライベートでは近づけさせない。ただでさえこの幼なじみは危機管理能力が無いのだから、少しでも危険から遠ざけたい。

「行くよ、翔太」
「え、あ、うん」

やるならすぐがいいだろう。早く返して、牽制しておかないと。
戸惑いながらも俺についてくる翔太。その様子も可愛いな、なんて思ってしまう。俺より小さくてなんか動く姿がヒヨコみたいだなって。

翔太を、誰にも渡したくない。

翔太が俺に好意を向けてくれているのは気づいている。あんなに熱い視線を送っていたのだから、翔太の気持ちなんてバレバレなのだ。俺も翔太が好きだから両想いだっていうのに、翔太は自分を片想いだと思っている。俺は康二が好きなんて勘違いして。
康二にも翔太の気持ちはバレているのに。というより、確認したわけじゃないけど、メンバー全員翔太の気持ちに気づいていると思う。ラウールだって知ってたし。「しょっぴー舘さんのことじっと見ちゃってて可愛いよね〜」なんて言っていた。

俺から告白するのは簡単だ。でも、俺は翔太から告白して欲しい。顔を真っ赤にして、俺のことだけ考えて、俺に「好き」と言う翔太が見たい。
でもあんまり待ち過ぎると横から掻っ攫われそう。目黒とかに。翔太の相談に乗るフリをして近づいている目黒は要注意人物。