ぼくとかわいい君と【短編集】second (ページ20)

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せっかく目黒が俺に自信を付けさせようとしてくれてるのに、自分で否定して卑屈になっている。
漫画とかじゃ、幼なじみ役って報われないことが多い。ヒロインの座は奪えない。告白して、振られて、最終的には背中を押して応援する。俺にはそんな優しさ到底持てそうにない。だから漫画の幼なじみ役の人、めちゃくちゃ尊敬してる。

「あ、しょっぴー」

不意に目黒に名前を呼ばれ、顔を上げる。その途端、顎に目黒の手が添えられ、クイッと目黒と視線が絡まる。じっと目黒と見つめ合う形になって、俺はまじまじと目黒の顔を見た。

こいつまつげ長いな…。全体的に顔綺麗だし…。

俺の瞳を覗き込む目黒。目の前には目黒の端正な顔があって、息遣いが感じられそうなほど近距離だ。

「うーん…なんか目に入ったような気がしたんだけど…」
「そうか？俺、特に痛み感じないんだけど？」

目に何か入ってしまったら本人めちゃくちゃ痛がるんじゃ…？俺なんも痛くないんだけど。

「気のせいだったのかも」
「たぶんそうだろうな」

そう判断したのに、目黒は俺を離す気配が無い。このままの状態で話を続けた。

いや、なんで？離してほしいんだけど。何気に今の体勢きついから。

文句を言おうと口を開いた時。

「そんなに顔近づけて何やってるの？」

柔らかな声が俺の鼓膜を震わせた。俺の後ろにいるらしいその声の持ち主は、グイッと前のめりになっていた俺の体を後ろに引いた。背もたれのある椅子に座っていたから倒れることは無いだろうけど、思いの外強い力で引かれてちょっと驚く。

「しょっぴーの目に何か入ったように見えたんで、それを探してました」

目黒のこれは恐らく涼太の問いへの答えだ。別にそんなに律儀に答える必要無いと思う。

「そうなの？翔太大丈夫？目、痛くない？」

腰をかがめて俺の目を覗き込んでくる涼太。そのあまりの距離の近さにボッと火がついたみたいに顔が熱くなった。

顔近すぎ…！無理、こんな距離！

「だ、いじょうぶ。どこも、痛くない」

言葉に詰まりながらもそう答えた。距離近いのは恥ずかしいから視線は逸らす。

「そう？それならいいや」

そう言って涼太は体を起こす。近すぎてさっきはあんなに嫌がっていたくせに、離れていくのはちょっと寂しい。というか、去り際にポンポンって俺の頭を撫でていったのは反則だと思う。