ぼくとかわいい君と【短編集】second (ページ12)

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「あれ、佐久間なんか今日機嫌いいね」

阿部ちゃんと二人でラジオ収録をする日、そんな風に言われた。阿部ちゃんもニコニコして俺を見ている。
何を隠そう俺は今めちゃくちゃ機嫌がいい。その理由は、翔太からの電話だ。昨日突然かかってきて、驚きながらも応答すると、翔太は口をモゴモゴさせながら用件を話し出した。

「明後日、俺も佐久間もオフだからさ、良かったら俺んち来ねぇ…？」

恥じるようにそんな風に言われて、脳が爆発するかと思った。だってこれは、つまり、夜のお誘いだ。翔太から夜のお誘いを受けたのなんて初めてではないだろうか。

阿部ちゃんには何度か翔太とのことで相談にのってもらったことがあるし、俺の機嫌がいい理由を教えることにする。

「実はねぇ、翔太から今晩誘われてんだよねぇ」
「おっ、それは楽しみだね」

そう言った阿部ちゃんは何故かニヤニヤしている。阿部ちゃんがそんな顔をする理由がよく分からず、「なんでニヤニヤしてんの？」と聞いた。すると阿部ちゃんはいたずらっ子みたいに笑って

「今日、佐久間にいいことあるよ」

なんて言った。
俺的にはもう十分いいことなんだけどな、と思い、「そうなの？」って聞き返した。その後は阿部ちゃんは何も言わず、ただ微笑んでいるだけだった。

阿部ちゃんと翔太で何か企んでる…？なんかそれ、面白くない。翔太の彼氏は俺なのに。俺に秘密事するなんて。

そんなことを思っているが顔に出ていたのか、それに気づいた阿部ちゃんが即座にフォローした。

「大丈夫。翔太は佐久間しか見えてないから」

それはそれで照れるんだけど…。