05*去り際の嘘。 ページ5
、
目が覚めるとベッドで私は寝ていて、
その隣には昨日の彼がいた。
……あぁ、もう外が大分明るい。
ていうかこの人、死んでるわけじゃないよね？
真っ白な肌に形の整った唇。
正直、眠り姫かと思う。
「(…勝手に帰っていいかな)」
散らばってた自分の服を身に付けてから
携帯の画面を見れば、思わず指が止まる。
「…テヒョン………、」
''無事に帰れた？何のドラマ見たの？''なんて
テヒョンからメッセージが届いて目を見張る。
だけど、無性に会いたいと思ってしまった。
何でテヒョンはこういう時に送ってくるの
…何だか私、責められてるみたい。
そんな訳ないんだけど。
YG「……なに。他の男とカトク？」
「わっ」
不機嫌そうな声が聞こえて振り向く。
すると私の携帯画面を覗き込んでる男が
無表情でチッ、と鋭く舌打ちをした。
……不機嫌なのは寝起きだから？
「勝手に見ないで下さい」
YG「偶然見えただけだろ」
「流石に無理あるんですけど？」
YG「…おまえ、彼氏いたの。」
何を考えてるか分からない瞳を向けられる。
彼の考えが、全く読めない。
「……違います、ただの友達です」
これは半分本当で、半分嘘。
無言を返す彼に作り笑いをしてベッドから立ち上がる。
もう彼に会うことも、ない。
「昨日は有難うございました。それじゃあ、」
YG「また会えんの？俺ら」
私の言葉の先を奪った彼の
真っ黒で鋭い瞳に思わず息を呑む。
…この人、昨日もこんな目をしてた？
「………機会があれば、また。」
2度と会うことはないだろうけど、
去り際に私は嘘を吐いた。
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作者名：ただのルート
| 作成日時：2024年2月28日 23時
